競争相手

チームが強くなる上で避けて通れないのが競争。それは投手も例外ではない。
が、正直なところ、自分には競争なんて関係ない、俺がchaosのNo.1投手だと思っていた。
いま振り返れば、かなり調子に乗っていたなと思う。さらに今夏、関根が来なくなったことで増した慢心は数字にも表れた。
それでも緩んだ気が締まることはなく、プライドだけが高くなっていった。
だが先日、犬飼の球筋を見たときにとてつもない危機感を覚えた。
コイツが本領を発揮してきたらヤバい。本気で調整して、追い抜かれないようにしなければ、と。
もともと野球部の1番を背負っていたくらいだから、感覚さえ戻れば俺を脅かす存在になることは間違いない。
chaosでの実績は俺の方が上だが、いつ超されるかわからない。chaos結成から3年。初めて危機感を覚えた瞬間だった。
そんな危機感を持つ一方、chaosに初めて現れた投手の競争相手、
「ただマウンドで投げる人」ではなく、「投手」としての競争相手にワクワクしている自分もいる。
そして前回の試合、自分なりに本気で仕上げていった試合では、多少は輝きを取り戻せた。
競争相手の存在はチームの戦力を底上げするということ。わかってはいたが、初めて体験した。
これからお互い切磋琢磨して、chaosを強くしてゆけたら最高だな、と思う。もちろん、まだNo.1を譲る気はないが。